DIY

家族から、壁紙を張り替えるDIYをしたいとの相談を受けた。和室の砂壁がどうも鬱陶しいらしい。現状、これまでに塗り直された形跡はない。かなりボロボロである。

 

中古で購入した家で、住宅地に建つ木造2階建てである。3LDKで、個室2つが和室。おそらく地域の工務店が60~70年代に建築したのであろう。躯体は丈夫のように思われるが、手入れがあまりなされていない部屋は結構ガタがきている。

 

で、和室のひとつを娘が使っていたのだが、ボロボロの和室には満足できなかったらしい。まあ、畳にベッドが持ち込まれているので、和室もクソもないのだろう。で、まずは壁紙を貼りたいとのこと。一応、原状復帰できるようにしてほしいらしい。ベニヤに壁紙を貼って、タッカーでとめるのが一番簡単であろうか、と思う。ベニヤより簡単なのは、スチレンボードとかになるのだろうか?あとはプラスチックダンボールとか。とりあえずそのようにアドバイスをしてみたが、これは施工も手伝わされるだろうな、と思う。

 

和室はこのままなくなっていくのであろうか。ハウスメーカーの建売プランをみると、比較的和室が設けられているのがわかる。できるだけ多くの人に受け入れられるには、それまでの標準を踏襲するのが普通であるから。が、注文住宅ではどうか。おそらく、和室のある住宅の数は減っていると思われる。

 

その昔、といってもつい50年前までは、畳生活は文化であった。さらに遡れば、畳のない板間のうえでも、床座での生活だった。いまの高齢者が若いころ、そのような生活が経験されているのだ。高齢社会と建築の関係を探るうえでは、上記を代表とする文化的な面からの検討も重要であろう。

 

が、若い世代はそうではない。生まれたときから生活は西欧化していた。そもそも和室の要素になじみがない。だから、和室にベッドを持ち込むし、そもそも和室が住宅からなくなっていく。まあ、普通のことである。

 

DIYは実に楽しいものだ。自分の理想とする部屋を自らの手で作り上げるのだから、これほど喜びに満ちる行為はそう多くない、と思う。それを介して自らの住環境に興味を持つ人が増える、ということは、実にいいことだろう。

 

だが和室問題のように、これまで愛されてきた要素が簡単になくされてしまうことは、少しだけさびしい気がする。需要がない事情は分かる。だが、長い年月を経て確立された様式が、なぜ愛されてきたのか。その理由を考える機会くらいは、わずかでよいので設けてあげたいものである。

 

だから、上にレンガ調の壁紙を貼る前に、それを上書きする行為にどういう意味があるのか、娘さんに考えていただきたいのだが、そんなことはどうでもよさそうだ。残念。